Partnerパートナー座談会

「品格と変革」を語る discussion meeting

PROFILE

パートナーCSO(経営戦略・企画担当)関川 サヤ
1994年新卒で入社。尾澤会計事務所の歴史、伝統を守りつつ、既存のものに新しい価値を加えて、次世代に繋ぐことが使命(Mission)です。クライアントの皆様のビジネスを支える税理士の新しいサービス提供のビジネスモデルの構築に励んでいます。

パートナー事業統括本部担当張替 政則
事業会社、個人会計事務所を経て1997年に入社。提供している税理士業務の責任者として、サービス品質の向上及び業務効率化はもちろんのこと、既存の業務を次世代のサービス提供のあり方を見据えて改善することが使命(Mission)です。既成概念に捉われない組織の構築を目指しています。
司会
尾澤会計事務所は税理士法人ですが、税務の専門家集団が「品格と変革」というスローガンを掲げられており、職業的になじみがないように感じますが、どのような背景がおありになるのか、お話をお聞かせいただけますでしょうか?
関川
はい、おっしゃるように「品格と変革」は堅いイメージのある税理士業には合わないように感じるかもしれません。どちらかというと、「専門と保守」の方が合いそうですね。でもこれは、私たちにはごく自然な考えです。と申しますのも、私たちは若いころから現代表の尾澤輝行に「税務だけでなく、何でもやってみなさい」と言われ続けてきました。
張替
現代表の尾澤輝行は、尾澤会計事務所の創業者である尾澤修治から事業を承継したのですが、尾澤修治は、元々は住友銀行(現、三井住友銀行)出身で、東京支店次長の時に病気でやむを得ず退職した後、公認会計士になって65歳で現在のあずさ監査法人の前身である監査法人朝日会計社を立ち上げ、常に不屈の精神で未開発の分野にチャレンジをし続けた人です。日本経済や会計税務分野に長きにわたり影響を及ぼしてきました。まさに尾澤会計事務所の「原点」とも言うべき存在がそのような人物ですから、スローガンとして「変革」は自然なことだと認識しています。
関川
そして、変革のためには品格が必要です。

会社経営分析 尾澤修治 著

司会
変革のために品格が必要とはどういうことでしょうか?
関川
尾澤修治が執筆した「会社経営分析」(日本信用調査株式会社、1953年出版)という書籍があります。これは、融資という観点で、会社のどんなところに着眼すべきかということが書いてあるのですが、この本の中で尾澤修治は次のように述べています。
「会社の事業目的はその企業が国家的・社会的使命を担って必須不可欠のものでなければならない、そして、いかに国民経済上必須の事業といえども、個々の企業には盛衰消長があり、それは内部事情によって左右されることもあるが、しかしながら極めて多くの外部的要因によって支配される」
これを私たちは、企業には国家的・社会的な使命、つまり品格が必要で、さらに内外の変化に対応するためには、変革が欠かせないものであるという解釈をしています。
張替
企業の品格については、例えば節税が行き過ぎて脱税になりそうなことをクライアントが望むとしたら、当然その考えを改めるよう説得します。それでも改めないのであれば、そのクライアントとの顧問契約をお断りします。そういうことを当たり前に行う事務所です。創業者の尾澤修治は会社の社長の経営者マインドを育てることを大切にされてきた人ですから、私たちもその精神をもってクライアントに接しています。
そして、クライアントに対してそれだけのことを求めるわけなので、私たちも税理士としても人としても正しくあろうとする覚悟が必要となります。
関川
それから、経営者の方は社内では話しにくい人事関係のことや、側近や親族にも明かせないような事業承継のことなど、色々な課題を一人で抱えています。私たちは、そのようなクライアントの良き相談役でなければいけません。
司会
次に、尾澤会計事務所で現在取り組まれていることを教えてください。
関川
私は若いころ創業者の尾澤修治に、「新しいものが出たら、まず追いなさい」と言われました。その言葉があり、ITが飛躍的に進化し始めたころ、業務にどんな波及効果があるかなどの検証を待たずに、様々なITインフラをすごいスピードで導入しました。次世代型ファイヤーウォールを設置し、データをクラウドに上げ、スマホ含めモバイル端末でどこにいても仕事ができる環境を構築しました。ソフト面では、これら新たなITツールを活用した情報セキュリティのルールを定め、従業員教育を再徹底し、国際認証規格ISO27001を取得しました。さらに、人為的な情報の持ち出しを防ぐため、資産管理ソフトや端末監視ソフトを導入しました。
このようにやってみて、「新しいものを追いなさい」と言っていた先代の尾澤修治の言葉は、単に流行りを追うということではなく、新しいものには業種の垣根を越えて新しいビジネスチャンスがあるのだよ、ということを伝えたかったのだ、と実感したのです。この取り組みを通して、私たちは税理士としての新たなビジネスモデルを着想し、今はその実行に向けて前進しています。
張替
その新しいビジネスによるサービスをクライアントに提供するために一番大切なのは、スタッフのマインドをどう新しい取り組みに持っていくかということです。つまり、既存の業務のやり方を変えていかないといけませんが、色々なことが一足飛びに置き換わるわけではないので、ある部分では余分に手間がかかります。それでも事務所やスタッフ一人ひとりが同じ目標に向けて力を合わせて行動するためには、今の取り組みが将来にどんなプラスをもたらすか理解し、ゴールを共有する必要があり、そのためのスタッフとの対話を大切にしています。今は全員が同じ方向を向いて、それぞれ自らの役目を地味であれ派手であれ果たそうという空気があります。
司会
尾澤会計事務所では、税理士法人の既存ビジネスを守りながら新規ビジネスにも取り組まれているということですか? そのビジネスはIT関係ですか?
関川
いえ私たちは税理士法人であり、ITはAIもRPAも含めてすべてツールです。
2017年にRPAで伝票入力ロボットを作りましたが、RPAが代替できるのは単純作業であり、部分的な業務です。作ってみて実感しました。AI、5G、ブロックチェーン、CPUの性能の飛躍的なアップなども、最新テクノロジーはその導入が目的ではなく、今の企業の抱えている課題の解決のためのツールであると捉えています。
欧米と異なり、日本では現場の判断を大切にする思想文化で業務プロセスが構築されています。これにより、手順がバラバラのまま属人化し、ナレッジがブラックボックス化しました。この状態のままではITツールで代替できる業務が限定されてしまいます。大事なことは業務プロセスを見える化、単純化した後で、AIなどのITツールに代替させる。この単純化できる業務領域が、テクノロジーの進化で広がったと思っています。
司会
では次に、尾澤会計事務所の他にはない優位性についてお聞かせください。
張替
クライアントの層です。法人で言えば、売り上げ規模が数十億円以上、個人では、財産額が数億、数十億円以上のお客様が多いことです。この層の企業や資産家は日本には、割合的に数%しかいません。尾澤修治の代から、これらクライアントの会計税務だけでなく、経営者からの経営相談、労務問題など多岐にわたるご相談を受けてきた事例があります。また、それを、分野別ではなく一人の担当税理士が受けるため、税理士個人に求められる力量も相当なものとなる、という環境があります。
そういうクライアントに対して、税理士業務を提供するには、会計税務知識でも、最先端のものが必要で、業務に必要だから私たちは常にそれら知識を習得しようとするし、その習得した知識を実践知として他のクライアントにもノウハウとして提供できます。良いクライアントがいて、そのクライアントにお応えしようというスタッフがいて、その結果、また良いクライアントが顧客になるという正の循環が築けていますよね。
関川
先ほどの新しいビジネスについてもう少し話しますと、私たちだけの力では到底成しえないような大きな構想の企画が動いています。それは「日本の経済社会の発展のために」という強い価値共有のもとで取り組んでいます。
張替
大きな企画構想であればあるほど実行力が必要ですが、歴史と信頼を積み重ねてきた実績があるからこそ、それができるのではないかと自負しています。創業者の尾澤修治の精神でもありますが、「日本の国家のために!」と、この規模の税理士法人が堂々と言い切ってしまう風土があり、これが私たちの優位性かなと思います。
司会
最後に今後の取り組みと課題についてお聞かせください。
張替
クライアントに付加価値の高いサービスを提供するためには、顕在化したニーズのみならず、潜在的なニーズを感知する必要があります。そのためにITテクノロジーを駆使しノウハウを解析すること等も推し進めながら、一方でスタッフを徹底的に磨き上げ、強い現場力を養うことがとても重要です。
変革は新たな価値を創造しますが、その必要性を合理的な根拠に基づき見極め、その変革によりもたらされる新たな価値をクライアントに提供できる組織づくりと人材の育成を実行します。
関川
税務会計だけでなく企業経営にいたるまで、クライアントにきめ細かいサービスを提供できるような業務環境を整えていきます。そのために、ノウハウをデータベース化、解析して、それを見える化・共有化します。
そして、日本の企業の成長のために、ノンコア業務全般を企業経営に寄与する戦略的なノンコア業務として再構築し、ソリューションとして提供するサービスを事業化したいです。それには、既成概念を打ち破ることが課題でしょうか。すでに経理業務から着手していますが、結果を出して確実に次につなげていきたいです。
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